ロービジョンケアについて
投稿日:2017.09.06

以前に院長が出演しました、熊本県医師会による健康相談のテレビ番組で放送された、ロービジョンケアに関する内容を記載します。

質問:「今日の医療大百科は、『ロービジョンケア』についてお送りします。先生、『ロービジョンケア』とは、初めて聞く言葉なのですが、どういうことなのでしょうか。」

院長:「まず、『ロービジョン』というのは、視力や視野に大きな障害はあるけれども、残された視覚を活用する可能性が残っている状態をいいます。『ロービジョン』の原因には、様々な病気や先天的な異常、外傷などがあります。そして、強い視覚障害が残ってしまい、日常生活や仕事に不自由を感じておられる方がたくさんおられます。そこで、治療と同時に、残された視機能を最大限に利用して、日常生活の質を向上させるためのお手伝いをしようというのが、『ロービジョンケア』になります。」

質問:「例えば、どういうことをなさっているのでしょうか?」

院長:「例えば、1)どの程度の視機能が残されているのかをきちんと評価して、御家族を含めて、十分に御説明します。ロービジョンの患者様は、現実を受けとめるのにはどうしても時間がかかる事が多いのですが、御自分の見え方を理解することによって、新たな目標もできて、前向きに考えられるようにもなります。これは大切なことです。それから、2)視覚補助器具の選定や処方、生活指導。 3)身体障害者手帳や特定疾患の申請など、福祉サービスの紹介や相談。 さらに、4)必要に応じて、より高度な視覚障害リハビリテーション施設、例えば熊本県立盲学校や点字図書館等を御紹介する事もあります。」

質問:「最近は、視力や視野を補う道具もいろいろあるようですね?」

院長:「はい。先ほどお話しした、視覚補助器具と言われるものがそれにあたります。視力が低下した方には、近くを見る場合、色々な種類の拡大鏡があります。それでも見にくい場合には、拡大読書器を使用して文字が読めるようになる場合があります。遠くを見る場合には、単眼鏡という望遠鏡を利用します。また、まぶしくて見にくい場合には、特殊な波長をカットする遮光眼鏡が役に立ちます。ロービジョンの方の中には、こうした機器についての情報を得られずに、不便を強いられている方もいらっしゃいます。ぜひ一度、眼科で御相談いただければと思います。」

※写真は視覚補助器具の一部です。